「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2012年6月7日

自転車事故にも損害賠償責任

▼Q 中学生の息子が携帯電話で話しながら自転車を運転していて、歩行者にぶつかりました。けがをさせてしまい、損害賠償が気になります。基本的なことを教えてください。

▼A こうした自転車事故が増えています。2002年には、中学生が無灯火で歩行者に衝突し、重傷を負わせて約3千万円の支払いを命じられました。後遺症が重くて5千万円を超えたケースも。14歳以上だと刑事責任が問われ、刑法の過失傷害罪や重過失傷害罪で処罰される可能性もあります。

自転車は道路交通法上は軽車両。法規に従った通行が求められます。歩道を走っていいのは(1)道路標識や道路標示で指定されている(2)13歳未満、70歳以上、身体の不自由な人(3)車道または交通の状況からみてやむを得ない-場合に限られます。もとより歩道を走れる場合も、歩行者優先でなければなりません。

賠償には「自転車保険」「個人賠償責任保険」が使えますが、限度額が設定された保険が多いようです。被害を受けた場合は加入している傷害保険を活用しましょう。相手の特定などが必要なので、事故に遭ったら警察に届けることが肝要です。

未成年者が事故を起こすと、民事裁判で親の責任が追及される場合もあります。運転の仕方を含め家族で話し合い、確認しておきましょう。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。今週からQ&A方式にスタイルを改めました。

西日本新聞 6月7日分掲載(関口信也)

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