「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年8月7日

「いじめじゃない」と息子は言うが・・・

▼Q 小学生の息子に、よく一緒に遊んでいた友達について「あいつは自慢話ばかりだから話さないことにした。それぐらいなら罪にならないし、いじめじゃないよね」と尋ねられ、言葉に詰まりました。どのように答えたらよかったのでしょう。

▼A いじめ防止対策推進法の2条にはいじめの定義が書かれています。大事な部分を抜き出して要約します。<「いじめ」とは、一定の人間関係にある児童等が心理的・物理的な影響を与える行為をし、対象となった児童が心身の苦痛を感じているものをいう>

この定義に照らせば、息子さんは、仲の良かった相手を無視するという行為によって、相手に心理的な影響を与えているといえます。相手が痛みや苦しみを感じていれば、いじめに当たります。犯罪に該当しないからといって、「いじめではない」とはなりません。いじめは孤立、不登校、最悪の場合は自死と、取り返しの付かない結果を生む可能性があります。

また同法9条は<自分の子どもがいじめを行うことがないよう指導に努める>と保護者の責務をうたっています。まずは息子さんの話をよく聴いた上で、「もし自分が同じことをされたらどう思うか」など、相手の気持ちに立って考えるよう諭すことが大切です。

福岡県弁護士会は、弁護士が小中学校や高校に出向く「いじめ予防授業」に取り組んでいます。「何がいじめに当たるのか」「いじめはどんな結果を招くか」「いじめをなくすには」を一緒に考えます。詳しくはホームページをご覧ください。

西日本新聞 8月7日分掲載(森俊輔)

目次