「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年7月7日

テレワークの勤務管理どうする?

▼Q 小さな会社を経営しています。新型コロナウイルスのこともあり、テレワーク導入を決めました。従業員の勤務の管理はどうすればよいでしょうか。

▼A テレワークを導入すると働き方が大きく変わります。特に働く場所と時間です。会社にとっても従業員にとっても大事なことなので、明確にしましょう。仕事をする場所は、採用時に明示する必要があります。就業規則にも「従業員の自宅」などを就業場所として記載するとよいでしょう。

在宅勤務の場合、労働時間が曖昧になりがちです。始業・終業時刻を明確にし、パソコンの使用記録なども活用して、労働時間を客観的に把握しましょう。自宅はもともとプライベートな場所。業務時間外の連絡は要注意です。

実際の労働時間にかかわらず「業務をするのに通常必要とされる時間」を労働時間とみなす制度もあります(事業場外のみなし労働時間制)。労働時間の管理の点からは便利ですが、違法残業を招きかねないという弊害もあります。

このため、同制度を使えるのは、労働時間の算定が困難な場合に限られています。パソコンやスマートフォンなどの通信で労働時間が把握できる場合、この制度は使えないでしょう。使える場合でも就業規則の変更などが必要です。

福岡県弁護士会は20日、福岡市のエルガーラホールで無料の講演会と法律相談会「コロナ時代に打ち勝つ経営」を開きます。オンラインでも参加可能です。
詳しくは弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 7月7日分掲載(安東翔太)

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