「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2016年8月24日

ハーグ条約対応の和解あっせん

▼Q 国際結婚した米国人男性と不仲になり、子どもを連れて帰国しています。夫は子どもを取り戻したいようで、外務省から「福岡県弁護士会のハーグ条約対応裁判外紛争解決手続き(ADR)で話し合いによる解決を」と打診されました。どのような制度ですか。

▼A 福岡県弁護士会紛争解決センターは4月1日から、国境を越えた子の連れ去りや留置が発生した場合、当事者間の合意の上で、子の返還または面会交流を実現するために和解のあっせんなど(ハーグ条約対応ADR)を行っています。

これは、国際結婚が破綻した後の子どもの扱いを定めたハーグ条約や国内関連法に基づく外務省からの委託事業です。当事者の一方が外務省の援助決定を受けている必要があり、今回は夫が決定を受けてADRでの解決を望んでいるのでしょう。

経験豊富な弁護士のあっせん・仲裁人が手続きするため、条約や法律に依拠しつつも、当事者の真の利益にかなった最善の解決が期待できます。あっせん・仲裁人は公平性から男女1人ずつ。英語の堪能な弁護士も関与し、専門の通訳や翻訳も利用できますので、国際的な子の返還、面会交流という困難な事案でもより適切な解決が見込めます。

手続きへの参加は来所、インターネットビデオ通話システム、国際電話も使え、海外や遠方に住む人も便利です。詳細は福岡県弁護士会のホームページ(http://www.fben.jp/whats/hague_adr.htm)を参照してください。

西日本新聞 8月24日分掲載(渡邊洋祐)

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