「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2021年10月13日

従業員の労働時間どう把握?

▼Q 従業員4人の不動産会社を経営しています。小さな会社なので勤怠は業務日報の自己申告で把握していますが、タイムカードも必要でしょうか。

▼A タイムカードの利用をお勧めします。

労働安全衛生法が改正され、2019年4月からは、従業員の労働時間の把握が全事業所に義務づけられました。残業がなくても、小さな会社でも適用されます。

具体的な把握方法は、厚生労働省がガイドラインを示しています。このガイドラインでは、客観的な方法での把握を求めています。従業員からの自己申告は客観的ではないので、やむを得ない場合に限られています。また、単に何時間働いたかではなく、毎日、何時何分から何時何分まで働いたかを雇い主が確認・記録しなくてはならないとしています。さらに、これらの記録は3年間保存する必要があります。

これらの条件を満たす把握方法となると、タイムカードがよいでしょう。なお、ガイドラインでは、ICカード、パソコンの使用時間記録などの方法も紹介されています。

最近のタイムカードには、出勤と退勤の時刻だけでなく、休憩の開始と終了の時刻まで記録できるものがあります。残業代のトラブルなどでは休憩時間も問題になることが多いので、このようなタイムカードも検討してみてください。

労働時間の正確な把握は、働き方改革や生産性向上につながります。会社にも従業員にもメリットがありますから、この機会に取り組んでみませんか。

西日本新聞 10月13日分掲載(松崎広太郎)

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