「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年6月6日

求人票より実際の給料が少ない時は?

▼Q 4月から働き始めた会社についてです。求人票や採用面接では手取り25万円とされていたのに、4月の給与明細を見ると、実際に支払われたのは20万円でした。何の説明もなく、募集時より低い賃金を払うのは問題ではないですか。

▼A 労働者を募集する企業は、求人票や募集要項などで賃金を含む労働条件を明示しなければなりません。

1月に施行された改正職業安定法により、当初明示した労働条件を、労働契約を締結するまでの間に変更する場合、速やかに内容を明示することが義務づけられました。この明示は、対照表を交付したり、変更箇所にアンダーラインを引いたり、着色したりして、変更内容を適切に理解できるような方法で行わなければなりません。

あなたの場合、賃金が求人票などでの説明より5万円も減額されたにもかかわらず、何の説明もなかったのですから、会社側は変更明示義務に違反しており、行政による監督指導や罰則の対象となる場合があります。

また裁判例によれば、求人票などに記載された労働条件は、当事者間でこれと異なる合意をしていない限り労働契約の内容となる、とされています。

したがって、あなたは勤務先に、25万円(4月分は差額の5万円)の支払いを請求できる可能性もあります。

8日は日弁連主催で全国一斉労働相談ホットライン=(0120)610168=が実施されます。ご相談ください。

西日本新聞 6月6日分掲載(島翔吾)

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