「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2015年1月21日

ネットで借用 著作権侵害の恐れ

▼Q 昨年末、インターネットで羊のかわいいイラストを見つけたので、年賀状に印刷して郵送しました。友人に話すと、他人のイラストを勝手に使うと著作権侵害になると言われ、不安になっています。

▼A 著作権法での著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」をいいます。今回相談された方が使用したイラストも、この著作物にあたる可能性があります。

著作物にあたる場合、イラストの作成者にはプロではなく素人であっても、自動的に著作権が認められることになりますので、他人が作成者の許可なくイラストを使用すると著作権侵害となります。

相談者は作成者から告訴された場合、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金に処されるか、これらが一緒に科されることがあります(刑事責任)。作成者から損害賠償請求や差し止め請求などを受ける恐れもあります(民事責任)。

イラストが著作権フリーのものであれば、作成者の許可なく使用することができます。仕事用ではなくプライベート用として友人などにわずかな枚数の年賀状を出した場合には、私的使用の範囲内として認められる場合もありますが、他人が作成したイラストを使用する場合には十分に注意する必要があります。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 1月21日分掲載(小川松太郎)

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