「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2014年6月4日

労働審判、利用しにくい地域も

▼Q 会社に残業代を支払ってもらえません。請求するにあたって、少しでも早く解決できる方法はありませんか。

▼A 規定の労働時間を超えて残業した場合には、勤務先に対してその時間に応じた残業代を請求できます。また、法定の労働時間を超えたり、深夜や休日に残業したりした部分は、基本給よりも割り増しして請求することができます。

勤務先と交渉して支払ってくれればいいのですが、簡単にはいかない場合も多いようです。そこで短期間で解決できる制度として、裁判所で行う労働審判という制度があります。

労働審判は原則として3回以内の期日で終了し、解決までの平均期間が2カ月半程度で行われる手続きです。しかも、労働審判による解決率は8割程度といわれています。この方法を利用すれば迅速に解決し、残業代の支払いが期待できます。

ただし、労働審判はどの裁判所でも利用できるわけではありません。原則として、地方裁判所の本庁と呼ばれる裁判所のみで、九州で本庁以外の裁判所で実施されているのは福岡県の小倉支部だけです。本庁から離れている地域に住んでいる方には利用しにくくなっています。

弁護士会としては、労働審判のような有用な制度が各地の裁判所支部でも利用できるよう、裁判所に対して働きかけているところです。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 6月4日分掲載(高峰真)

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