「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年3月29日

子どものスマホの高額課金、支払いは?

▼Q 高校3年の18歳の息子がスマートフォンのゲームで課金されるアイテムを大量に購入したらしく、先日数十万円という高額な請求が来ました。親の知らないうちに息子が購入したアイテムの代金を支払わないといけないのでしょうか。

▼A 息子さんはスマホで課金アイテムを購入しており、ゲーム会社との間で購入契約が成立していますから、原則その代金を支払う義務が生じます。民法上、20歳未満の未成年者が親の承諾なく、小遣いの範囲を超える高額の契約をした場合は契約を取り消すことができます。ただし例えば未成年者が年齢を20歳だと偽っていた場合は契約を取り消すことはできません。

契約は、いったん成立すると原則取り消せず、契約当事者に義務(本件の息子さんは代金支払い義務)が発生し、義務を怠ると裁判を起こされて強制執行される可能性があります。

現在、民法上の成人年齢は20歳ですが、選挙権と同様に18歳への引き下げが検討されています。仮に引き下げとなれば、高校3年の息子さんも契約を取り消せなくなります。そうすると、これまで以上に学校で契約やルールの意義、役割について学ぶことが重要となります。

福岡県弁護士会では、契約やルールの意義、役割などを学ぶ「法教育」に積極的に取り組んでおり、小中高の各学校に弁護士を派遣する出前授業も行っています。無料キャンペーンも実施中ですので、詳しくは弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 3月29日分掲載(日浅裕介)

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