「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年7月17日

逮捕された夫が「勾留」されると?

▼Q 夫が逮捕され、警察官から「今後、勾留される見込み」と聞かされました。夫は警察署から長く出られないのでしょうか。

▼A 勾留とは、逮捕に続き、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるなど法律が定めた一定要件を満たす場合に、容疑者を警察署の留置施設などに留め、出るのを禁じることをいいます。逮捕できる期間は最長72時間ですが、逮捕後に勾留されると、原則10日間、さらに勾留が延長されるとそれ以上(最大プラス10日間)出られなくなります。

もっとも、勾留までされずに釈放されることもあります。勾留請求は警察官ではなく検察官が行いますが、検察官が「勾留するまでもない」と判断した場合は釈放されます。検察官が勾留請求した場合でも、裁判官が「要件を満たさない」と判断した場合は請求が却下され、釈放されます。裁判官が勾留決定した場合でも、異議申し立てをすれば、決定が取り消され釈放されることがあります。

逮捕直後に弁護士を選任すれば、(1)検察官に「勾留請求の必要はない」と意見を述べる(2)裁判官に「勾留を認めるべきではない」と意見を述べる(3)勾留決定された場合は異議申し立てを行う-など、釈放に向け活動ができます。

まずは近くの弁護士会に相談し、当番弁護士を呼びましょう。1回目は無料で面会に行きます。お金がなくても、被疑者弁護援助制度を利用して弁護士を選任することができます。弁護士が付くことによって、夫が警察署から早く出られる可能性があります。

西日本新聞 7月17日分掲載(野田幸言)

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