「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2015年10月21日

借地の自宅 建て替えは可能

▼Q 関東に住む親戚が台風被害に遭い、木造の自宅を流されてしまいました。借りた土地に建てていましたが、建て替えても構わないでしょうか。これを機に頑丈な鉄筋コンクリート造りにしたいとも言っていますが、可能でしょうか。

▼A 借地権には種類があり、内容が異なります。ここでは、一般によく用いられる普通借地権としてお答えします。

まず、貸主の承諾を得て建て替えることは可能です。その場合、借地権は貸主の承諾を得た日か、建て替え工事が完了した日のどちらか早い時点から20年延長されます。

貸主が承諾しなかった場合は(1)1回目の契約期間内か(2)更新を経ているか-によって結論が変わります。(1)では建て替え可能ですが、当初の契約期間が満期になれば契約は終了します。ただ、終了時に貸主が契約更新を拒絶するには正当な理由が必要ですから、更新が認められるケースが多いです。(2)は貸主に無断で建て替えると貸主は賃貸借契約を解約できることになっています。いずれの場合も、当初の契約で建築できる建物の構造を木造に限定している場合は、貸主の承諾なく勝手に鉄筋コンクリート造りに建て替えることはできません。

賃貸借契約を締結した年代や内容によって結論が変わることがあります。詳しくは弁護士らに相談してください。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 10月21日分掲載(松尾朋)

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