「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年9月21日

法曹ドラマと実際の違いは?

▼Q 法律家を目指す高校生です。ドラマでは、弁護士、検察官、裁判官が難事件を解決しています。実際もそんな感じなのですか?

▼A 弁護士、検察官、裁判官のことを法曹と呼びます。事件解決は法曹の仕事ですが、ドラマと実際は少し違います。

裁判官が現場で見逃されていた証拠を発見して事件解決、といったことはほとんどありません。裁判に勝つために弁護士や検察官が頑張って証拠を出す。裁判官はこれを判断する役目に徹するというのが基本的な考え方だからです。

証拠を突き付けられ観念して自白するということもあまりありません。自白せずとも、証拠に合わないことを言っていれば、うそだと認定される形が多いです。弁護士や検察官はそういう立証を目指し、裁判官もそこを見ています。

一方、実際の仕事はドラマより幅広いです。ドラマでよくある離婚、相続、刑事事件以外に、労働問題、借金整理、最近はインターネットに関わる事件も多いです。また、事件にならないよう予防する仕事が多いです。法律を知っていれば間違えなかった、契約書を作っておけばケンカにならなかった、ということは意外に多く、紛争回避の助言をしています。

このほか、本を書いたり、講演したりすることもあります。この原稿もその一つですね。

福岡県弁護士会は、10月23日にシンポジウム「来たれ!リーガル女子」を開催します(性別不問)。弁護士が中高生・保護者向けに法曹の魅力を語ります。Zoomでも参加可。申し込みは同弁護士会ホームページで。

西日本新聞 9月21日分掲載(仲地彩子)

※このイベントは終了しました

目次