「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2024年8月15日

補助金申請を断られたら

▼Q 補助金を申請しようとしたのですが、役所の担当者から無理だと言われ、受理してもらえませんでした。諦めるべきでしょうか。

▼A 住宅確保給付金、事業再構築補助金、IT導入補助金など、さまざまな補助金・助成金があり、給付条件は法令で決められています。国や地方公共団体はその法令に拘束されます。条件を満たしていれば、支給を拒否することはできません。利用できる補助金を受け取ることは国民の権利です。

申請条件は制度ごとに異なり、複雑なものもあって、役所の担当者が間違うこともあります。根拠となるのは法令です。受理されない場合は、法文やパンフレットを参照しながら、どの条件が問題か、何が足りないのかなど、具体的説明を求めましょう。

弁護士など専門家に同席してもらうのも良い方法です。弁護士が情報公開請求した実施要項を基に交渉し、担当者の判断が変わった例もあります。

結果が無理そうでも、申請自体はできます。役所は申請を受理したら、間違いのない正式な判断をしなくてはなりません。その結果、受付担当者の見解と異なる判断になることもあります。役所の判断が正しいかどうかは、最終的には裁判で決まります。裁判対象は役所がした正式な判断です。不受理のままでは、その裁判もできません。

申請を受理すると役所の負担は増えますが、遠慮する必要はありません。受けられるはずの補助金を受け取れないことの方が問題です。諦めずに説明を求め、納得できなければ専門家に相談し、申請受理を求めてください。

西日本新聞 8月15日分掲載(木村道也)

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