「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2018年4月11日

未成年者契約の取り消し、法改正に注意

▼Q 大学生の息子が最近えたいの知れないセミナーに通いだし、物を売りつけられて大きな借金を抱えているようです。息子の友人からは、マルチ商法に引っかかったようだと言われました。どうすればいいでしょうか。

▼A お子さんが未成年の場合、親の同意なく未成年者がした法律行為(売買や借り入れ)については、親が取り消すことができます。一方、成人していると、簡単には取り消せませんので、消費者契約法などで対応できないか検討する必要があるでしょう。

実は若者を対象とした悪質商法の被害は多いのです。経験の乏しい若者はだまされやすく、被害に遭っても泣き寝入りする傾向にあるからと考えられます。最近は福岡でも「起業家セミナー」を称する悪質商法の被害が多発し、セミナー運営会社の実質経営者が有罪判決を受ける事件がありました。十分気を付けてください。

政府は、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を今国会で成立させ、2022年4月1日施行を目指しています。実現すれば、18歳になると未成年者契約の取り消しができなくなり、自由にお金を借りられるようになりますので、消費者被害が拡大するのではないかとの懸念があります。

福岡県弁護士会は21日午後1時半、福岡市博多区中洲のインペリアルパレスシティホテル福岡で、シンポジウム「民法の成年年齢引下げを考える~18歳で成人になるということ~」を開催します。詳しくは県弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 4月11日分掲載(青木歳男)

※このイベントは終了しました

目次