「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年8月1日

内部告発者は守られる?

▼Q 勤務先の食品工場で、材料が食品衛生法に違反していることを知りました。上司は見て見ぬふりです。社内に内部通報窓口がありますが、ここに知らせて不利益を受けないか心配です。

▼A 会社の不正を是正するために通報する「公益通報者」は公益通報者保護法で保護されます。
通報者に会社が降格、減給など不利益な取り扱いをすることはできず、解雇も無効とされています。

公益通報者保護法は事業者に対し、通報窓口を設置し、担当者を決めるよう求めています(常時使用する労働者が300人以下の事業者は努力義務)。担当者は通報者の特定につながる情報を漏らしてはならず、違反すると刑事罰があります。窓口が適正に運営されているようなら、ここに通報するのがよいでしょう。

内部通報窓口がない場合や利用したくない場合は、行政機関、報道機関、消費者団体等に外部通報することもできます。ただし、外部通報の場合、いいかげんな通報で会社が損失を受けるのを防ぐため、ある程度の根拠をもって通報したことが保護される条件となっています。

社内の不正を目にしたとき、誰もが対応に戸惑うでしょう。対応を誤って社会問題となれば、会社の存続にも関わります。内部通報は会社の自浄作用を促し、会社を助けることになります。

福岡県弁護士会では従業員、会社双方からの公益通報の相談に対応しています。ナビダイヤル=(0570)783552(なやみここに)=で予約してください。

西日本新聞 8月1日分掲載(鬼頭良弥)

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