「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2015年6月10日

鳥獣保護区でも駆除は可能

▼Q 私は海に近いところで農業をしているのですが、近くの干潟を守るために、国の鳥獣保護区に指定されることになったと聞きました。鳥が増えて、農業被害がでないか不安です。

▼A 鳥獣保護法では、どのような場所でも野生鳥獣は原則、捕獲が禁止。例外は、狩猟のための捕獲と有害鳥獣の駆除のための捕獲です。いずれも法律に定められた許可の手続きを行う必要があります。

鳥獣保護区に指定されると、狩猟は禁止されますが、有害鳥獣の駆除は可能ですので、農業被害への対応で問題が生じることはありません。国が新たに鳥獣保護区を指定するのは、希少な鳥類を守るためですが、その鳥類が生息する場所の干潟を守ることにもつながります。干潟はそこに生息する生物群の多様性やそれをえさとする鳥類の重要な生息場所なので、国際的にはその価値が高く評価されており、保全するための活動も世界的に広がっています。

国際的に重要な湿地を守る取り組みとしてラムサール条約があります。希少種や多様な生態系の干潟や河川、湿原などの保全を目的に環境教育や観光振興など登録地の「賢明な利用(ワイズユース)」を促します。佐賀県・有明海の東よか干潟と肥前鹿島干潟が5月末にラムサール条約に登録されました。国内の登録湿地は50カ所。有明海沿岸にはすでに登録湿地となっている荒尾干潟もあり、有明海全体で干潟を保全する意識が高まることが期待されています。

西日本新聞 6月10日分掲載(吉野隆二郎)

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