「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2022年5月18日

禁錮刑と懲役刑の違いは?

▼Q 交通事故で過失運転致死傷罪に問われた被告人に対し禁錮1年4月、執行猶予3年の判決が言い渡されたというニュースを見ました。禁錮刑と懲役刑はどう違うのですか。執行猶予とは何ですか。

▼A 禁錮刑は刑務所に拘束する刑罰であり、一方、懲役刑は刑務所に拘束して所定の作業を行わせる刑罰です。懲役刑は刑務所内での「刑務作業」が義務となっている点に違いがあります。禁錮刑は「刑務作業」が義務ではありませんが、本人が申し出れば作業することができます。

刑務作業は、受刑者に規律ある生活態度を習得させて、社会共同生活への順応性や勤労意欲を養い、受刑者の更生を促す機能があります。4種類の刑務作業があり、(1)炊事洗濯などの「自営作業」(2)物を作ったり、木工や印刷、洋裁、農業などをする「生産作業」(3)通学路の除雪作業や除草作業などを行う「社会貢献作業」(4)就職に必要な知識や技術を習得させる「職業訓練」-があります。この職業訓練を受けることにより、理容師や美容師、ホームヘルパー、フォークリフト運転、測量士補などの資格を取得する機会が生まれ、社会復帰が進みやすくなります。

次に執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予して、その期間中に受刑者が再び罪を犯すことがなければ、刑罰が消滅する制度です。よって冒頭のケースでは、執行猶予の3年間のうちに別の罪を犯すなどすると、執行猶予が取り消されることがあります。その場合、禁錮1年4月と新たに犯した罪の刑の双方を服役することになります。

西日本新聞 5月18日分掲載(諌山佳恵)

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