「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年11月21日

宗教の束縛から抜けるには

▼Q 高校生です。親がある宗教の熱心な信者で、体育の授業や恋愛はダメと言われています。私は自由にしたいです。どうしたらいいですか?

▼A あなたには憲法で保障された信教の自由があります。どのような宗教を信仰するかは、信仰を持たないという選択肢も含めて個人の自由です。

親には民法上の「親権」があり、子どもの財産や生活を管理することが認められています。親が信仰する宗教の行事に子どもを参加させることも、ある程度は親権の範囲内でしょう。しかし、内心に踏み込んで信仰を強制したり、恋愛を禁じたりはできません。あなたには教育を受ける権利があり、体育の授業への参加もあなたの自由です。

判断能力が育たないうちから信者にさせるなどの行為は「洗脳(マインドコントロール)」で、健全な成長の機会を奪われることは被害と言えます。大人でも、病気などの弱みに付け込まれ、客観的に治る科学的根拠もない団体に入会させられたり、結果的に多額の金銭を取られたりする宗教名目の被害が後を絶ちません。

まずは、同じ悩みを持つ仲間のことを調べてみてはどうでしょうか。「宗教2世」で検索すると、たくさん情報が出てきます。弁護士に相談いただければ、あなたの立場で親に意見を言うことや、宗教団体からの脱退をサポートします。親が抱える宗教上の問題の相談に乗ることも可能です。福岡県弁護士会では「子どもの人権110番」=092(752)1331=やLINE(ライン)で相談を受け付けています。

西日本新聞 11月21日分掲載(春田久美子)

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