「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2016年9月28日

交通ルールが必要な理由は?

▼Q 先日、車を運転していて、一時停止違反で反則切符を切られました。車の通りもほとんどない交差点で、一時停止規制など必要なのでしょうか。

▼A 確かに、交通ルールの中には、一見すると必要性の分かりにくいものもあります。そういうときは、なぜそのようなルールがあるのか、広い視点で考えてみることが重要です。

一時停止規制は、道路交通法で定められています。この法律は、道路における危険防止や交通安全に加え、交通の円滑を図ることも目的とされています。

自動車は、人や物を遠くまで速く運ぶことができ、運転する人もそうでない人も、さまざまな便益を得ています。

ただ、そのように速く移動できるのは、道路が整備され、交通ルールが決められているからです。ルールがなかったり、多くの人が守らなかったりすれば、青信号の交差点でも、怖くて速度を落とすしかありません。

一時停止規制も同じです。規制を皆が守ることで、交差点を通る運転手は「横から入ってくる車は一時停止してくれるはず」と安心して通行できます。

ルール(法)は、何らかの理由があって定められていることがほとんどです。時代の変化などに合わせて改めることも重要ですが、ルール自体が重要なことに変わりはありません。

福岡県弁護士会は、法やルールの役割や意義を学ぶ「法教育」に取り組んでおり、弁護士の講師派遣も行っています。詳しくは弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 9月28日分掲載(甲木真哉)

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