「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2018年5月9日

学校でけがをしたら治療費は?

▼Q 子どもが、学校の友達に殴られ、けがをして帰ってきました。相手は、うちの子が先に手を出したのだから自分は悪くないと言って、親御さんも治療費などを支払ってくれません。どうしたらよいでしょうか。

▼A 相手の子どもさんやその保護者の方に損害賠償請求を行うという方法があります。ただ、相手方がその支払いを拒んでいる場合、実際に賠償金を受け取るまでには長い時間を要してしまうことが多いです。

子どもさんが、学校の授業中や休み時間、部活動中、学校行事で遠足に出かけた際など「学校の管理下」でけがをした場合には、災害共済給付制度を運用する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(JSC)から、治療費の支払いを受けることができます。

この制度は治療費だけでなく、治らないような障害が残った場合には、症状に応じて後遺障害の見舞金を受け取ることもできます。万一死亡してしまった場合には、死亡見舞金も支払われます。

仮に、いじめや体罰を受けた子どもがこれを苦にして自殺してしまったような場合にも、JSCから死亡見舞金の支払いを受けることができます。こうした場合、いじめや体罰があったのか、自殺の原因が何かについて第三者委員会の調査結果などを基に審査されることになります。

JSCの決定に納得できない場合には、異議を申し立てることも可能です。ぜひ弁護士にご相談ください。

西日本新聞 5月9日分掲載(井上茉彩)

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