「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年10月7日

「みかじめ料」支払うよう脅された

▼Q 飲食店の経営者です。暴力団の組員から「みかじめ料」を支払うよう脅されています。

▼A 「みかじめ料」は縄張内の事業者に対して暴力団が要求する上納金です。指定暴力団の組員による「みかじめ料」の要求は暴力団対策法で禁止されています。
また、暴力団に不当な利益が流れないよう、多くの都道府県の暴力団排除条例は、その支払いも禁止しています。しかし、なかなか断れない事業者もいるようです。

現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの飲食店事業者が経済的苦境に立たされています。苦労して得た利益が「みかじめ料」として奪われるのは本当におかしなことです。あなたがこれまで「みかじめ料」を支払っていたのであれば、これを機に勇気をもって断りましょう。

最近、コロナ禍のために支払いを拒否した飲食店経営者を脅したとして、暴力団幹部が警察に逮捕されました。このような事件では、警察は、「お礼参り」など暴力団による報復からの保護対策にも力を入れています。

警察の相談窓口は、組織犯罪対策課。暴力団対策の専門部署です。警察以外の相談窓口としては、各都道府県の暴力追放運動推進センターがあります。ここでは、相談内容に応じて、刑事事件なら警察、民事事件なら民事介入暴力(民暴)に詳しい弁護士を紹介してくれます。

あなたの少しの勇気と民暴に関わる関係者への信頼が、苦境を変えてくれるはずです。

西日本新聞 10月7日分掲載(柴山真人)

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