「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2021年10月20日

破産すると、人に知られるの?

▼Q 借金が増え過ぎて自己破産を勧められました。しかし、自己破産をすると戸籍に載り、結婚や就職に支障があると聞いたことがあります。本当でしょうか。

▼A 自己破産をしても、戸籍に載ることはありません。破産に伴う主な不利益としては、次のようなものがあります。

まず資格制限です。司法書士、行政書士などの専門職のほか、宅地建物取引士、警備員などの仕事ができなくなります。もっとも、大多数の方は破産手続きが終了すれば復権し、資格制限から解放されています。

次に、破産の事実が金融機関向けの信用情報機関に登録されます。その結果、一定期間、銀行などからお金を借りられなくなりますが、その情報が一般に知られることはありません。

これとは別に、破産者の情報は政府が発行する官報に掲載されます。しかし、官報に目を通す一般人はほとんどいないため、ここから家族や知人、会社に知られる心配はしなくてよいでしょう。実際、周囲に知らせずに破産するケースもあります。

なお、近年、破産者の名前や住所をインターネット上の地図に表示する「破産者マップ」というサイトが現れました。しかし、政府の個人情報保護委員会からの行政指導を受け、既に閉鎖されています。また、サイト運営者は、掲載された方から損害賠償請求されています。

破産は、債権カットという債権者の犠牲を伴うため、破産者にも最低限の不利益があります。しかし、あなたが債務のない状態で再スタートできる制度です。

西日本新聞 10月20日分掲載(鶴崎陽三)

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