「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2015年12月16日

口座凍結で被害救済も

▼Q 先日、知人が振り込め詐欺に遭い、犯人が指定した口座に多額のお金を振り込んでしまいました。犯人が口座からお金を引き出すことを阻止する方法があると聞いたのですが、本当でしょうか。

▼A 犯罪に利用された口座であることを理由に、金融機関に対して口座凍結を要請することで引き出しを早急に阻止することが可能です。詐欺被害のケースでは、犯人がいったん被害金を引き出してしまうと回収は困難。そうした事態を未然に防ぐことを目的として、2008年に「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」が施行されました。

この法律は、捜査当局などが提供した情報などから犯罪行為に用いられた疑いがあると認められる預金口座については、各金融機関は速やかに口座を凍結するよう求めています。金融機関がこれに従って口座を凍結してしまえば、犯人はこの口座から現金を引き出すことができなくなります。口座凍結後は、所定の手続きをクリアすれば最終的には口座内の預金が被害者に分配されます。口座凍結の要請は被害者自身が行うことも可能ですが、当該口座が犯罪利用口座である疑いがあると認められることが条件。罪状の明示や証拠書類の提示が必要となる場合もありますので警察や弁護士など専門家に相談されることをお勧めします。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 12月16日分掲載(蔵健一郎)

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