「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年5月6日

マンションに暴力団が出入り?

▼Q マンションを購入し、家族で住んでいますが、同じマンションの一室に暴力団組員が出入りしているようで心配です。どこに相談していいかも分かりません。

▼A 区分所有法(マンション法)は、区分所有者や使用者は共同の利益に反する行為をしてはならないと定めています。区分所有者や使用者が組員であると特定できた場合は、同法に基づき、該当する居室の使用差し止めや使用禁止を請求できる可能性があります。また住民が威圧行為を受けたり、抗争に巻き込まれたりするような、危険性が高いケースでは、その居室を競売にかけるよう裁判所に求めることもできます。マンション住民、警察、弁護士が連携して手続きします。

こうした手続きを取るためには、組員の出入り状況、迷惑行為の実情、その居室の様子(例えば監視カメラや防弾ガラスの設置状況)などの情報を整理した上で、管理組合の総会を開いたりする必要があります。それに向けて住民が一致団結することが欠かせません。不安に思われる住民がいるかもしれませんが、暴力団対策に詳しい弁護士が説明をお手伝いできますし、警察が安全を守ります。

いずれにせよ、このような問題が発覚した時点で、管理組合へ情報提供するとともに、各県の暴力追放運動推進センターなどにご相談ください。弁護士も協力しています。福岡県の同センター=092(651)8938。危険が間近に迫っているなど緊急性が高い場合は、ためらわずに110番してください。

西日本新聞 5月6日分掲載(中島正博)

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