「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年9月11日

子どもが引きこもっている

▼Q 子どもが長く引きこもっていて、いつか人に危害を加えたり、自ら命を絶ったりするのではないかと不安でたまりません。

▼A 引きこもりとは、さまざまな理由で社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊)をせず、原則6カ月以上家庭にとどまり続けている状態を指します。時々コンビニなどに行っても、人と交わらないのであればそれも含みます。

引きこもりが社会の耳目を引くようになったのは、事件の影響があります。古くは2000年の西鉄バスジャック事件、最近では川崎市の20人殺傷事件、元農水事務次官が息子を殺害した容疑で送検された事件などです。ただ、引きこもりを「危険な人」のように捉えるのは間違いです。ほとんどの人はそうではなく、生きづらさを感じ、傷つき悩んでいます。

引きこもりは、以前は学校や職場など個別の問題とされ、国や自治体は総合的な対策を取ってきませんでした。その結果、中年になった子と高齢の親をどう支援するかという「8050問題」「7040問題」になっています。

ご家族は、県や政令市のひきこもり地域支援センターや精神保健福祉センター、医療機関、自治体の窓口などに相談してください。家庭訪問や面接などを通じて少しずつ孤立感を解消していきます。当事者の集いやデイケアなどで慣れてくると、外での学び直し、アルバイトや本格的な就労にも踏み出せる可能性が出てきます。

福岡県弁護士会は、不登校や貧困に関するシンポジウム「だれも孤立させない社会をめざして」を28日午後1時半から県弁護士会館で開きます。

西日本新聞 9月11日分掲載(山口高志郎)

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