「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2015年11月11日

面会 子どもの福祉を優先

▼Q 調停離婚し、母親の私が小1の娘の親権を持ち一緒に暮らしています。調停では娘を元夫に月1回程度面会させると決めましたが、あまり会わせたくありません。
会わせないとペナルティーはありますか。

▼A 家庭裁判所で面会を取り決めている場合は家裁から「履行勧告」される可能性があります。一緒に住んでいない親(非監護親)から慰謝料を請求されることもあります。面会交流の日時や頻度、子の引き渡しの方法などが具体的に定められていれば家裁が間接強制(制裁金)を決定することも考えられます。

面会交流をめぐり、親権者の変更がなされた例も。昨年12月決定された福岡家裁の家事審判。子に会えない父親が母親に対し、親権者変更の申し立てをしたところ、子どもが父親との面会を拒む理由は子どもに罪悪感を抱かせる母親の言動にあると認め、母親の監護は継続させながらも親権者は父親に変更するという判断がなされました。

別れた配偶者への複雑な気持ちから、子どもとの面会に消極的になる人は少なくありません。しかし、元夫婦間の感情の問題と親子の関係は別です。夫婦は離婚しても親子の縁は切れません。非監護親と子どもとの面会交流は子どもにとっても親の愛情を感じることができる大切な機会です。子どもの福祉を害する場合でなければ面会交流を前向きにとらえるべきだと思います。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 11月11日分掲載(渡邊典子)

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