「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2021年9月1日

「偽装請負」違反防ぐ注意点は?

▼Q 自社ホームページ(HP)の管理をフリーランスに外注し、社内の一角で作業してもらっています。この種の業務では「偽装請負」という問題があると聞きました。違反にならないか心配です。

▼A 管理業務の実態が請負、雇用のどちらであるかが問題です。

請負とは、業務の成果と引き換えに報酬を受け取るものです。働く側は一事業者であり、働き方は自由ですが、仕事を自己完結させなければならず、時間がかかっても残業代はありません。

雇用は、会社員など、労働を提供して賃金を受け取るものです。使用者の指示に従わなければならない代わりに、むやみに解雇されないなど、労働者としての権利が保障されています。

偽装請負は、実態は雇用なのに契約上は請負にして、労働者の権利を奪うものです。長時間労働を拒否できないのに残業代は支払われない、仕事を突然打ち切られるなど、働く側が一方的に不利益を押し付けられることになります。このため、偽装請負は法律で認められていません。

偽装請負を行うと、残業代をさかのぼって請求されたり、社名公表などの措置の対象となったりします。会社としてのダメージは計り知れません。

ご相談のケースが偽装請負にならないようにするには、外注先の仕事の独立性を確保することが必要です。例えば、業務の進め方や働く時間などは外注先の自由というかたちであれば、適法な請負とみられることが多いでしょう。

西日本新聞 9月1日分掲載(南川克博)

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