「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2014年12月17日

妊娠を理由にした降格は違法

▼Q 10年間勤務し、「副主任」に就いていました。妊娠したのを機に、今までの業務から負担の少ない業務に変更してもらえるように職場にお願いしたところ、副主任から降格させられました。私はこの降格処分を受け入れるしかないのでしょうか?

▼A 労働基準法は、妊娠中の女性が請求した場合、使用者はそれまでの業務より軽易な業務に転換させなければならないと定めています。それでは、今回のケースのように、軽易な業務に変更したことをきっかけに使用者は降格処分などの不利益処分を行うことはできるのでしょうか?

この問題は「マタニティーハラスメント」(マタハラ)といわれ、近時注目されています。今年10月、最高裁判所がご相談のようなケースについて、雇用分野での男女平等を目的とする男女雇用機会均等法に違反すると判断しました。使用者からの一方的な降格処分に応じる必要はありません。処分が行われる前に上司から処分に応じるように同意を求められてもきっぱり断ってください。実際に降格処分を受けてしまった場合には、処分の無効や副主任の手当の支払いを求めることができます。

女性の社会進出が進む現代社会では、使用者としてもどのように女性の労働力を生かすかを考えることはとても大切なことではないでしょうか。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 12月17日分掲載(西村 裕一)

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