「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年6月24日

外国人は生活保護を受給できる?

▼Q 会社が倒産して、日本人の私と外国人の同僚は共に職を失いました。再就職先が見つからないまま失業手当の受給期間が過ぎ、生活が困窮しています。私は生活保護を受けようと考えていますが、同僚も受けられますか。

▼A 日本人のあなたについては、憲法上の生存権が保障され、生活保護を申請する権利が認められています。申請して、収入が一定額以下であるなどの条件を満たしていれば、受給できます。万一、申請が却下されても、不服を申し立てることができます。

他方で、外国人の同僚の方については、日本人の場合と異なり、実務上は生存権が十分に保障されるには至っていないことから、生活保護を申請する権利が認められていません。たとえ申請しても、日本国民でないことを理由に却下される恐れがあります。

しかし、適法に日本に滞在し、労働制限がない永住資格や定住資格を持つ外国人は、人道上の観点から生活保護に準ずる行政措置を受けられる場合があります。 具体的には、日本人の配偶者や、素行が善良であるなどの条件を満たして法務大臣が永住を認めた者などです。そのような外国人は、日本人の場合と同様の条件を満たしていれば、生活保護と同じ内容の行政措置を受けられます。このように、外国人も在留資格によっては、自治体から扶助を受けられる可能性があります。

日本人であっても外国人であっても、受給を検討される場合は、資格があるか、条件を満たしているかを専門家に相談してみてください。

西日本新聞 6月24日分掲載(北中茂)

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