「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年11月6日

前夫が子どもを返してくれない

▼Q 半年前に離婚し、私が親権者となり子どもと暮らしています。しかし先月の面会交流後、前夫が子どもを返してくれなくなりました。裁判所に子の引き渡しの申し立てをして認められましたが、それでも返してくれません。

▼A 子の引き渡しの直接的な強制執行(執行官が直接、子の引き渡しを実施すること)を裁判所に申し立てる方法が考えられます。

これまでは、民事執行法に子の引き渡しに関する明文規定がなかったため、どこまで執行官が関与できるか明確でなく、子どもを返してくれない親から子どもを取り戻すのは、簡単ではありませんでした。しかし今年、同法が改正され(来年に施行予定)、規定が設けられました。

直接的な強制執行は子どもに悪影響を与える恐れがあります。心身の負担をできる限り小さくする必要があるため、全てのケースで直ちに強制執行できるわけではありません。ただ改正で、要件を満たせば、例えば学校や保育園など子どもを返さない親の家以外の場所でも、強制執行が可能になります。また、返さない親の同意なく家に入り子どもを捜す権限が、執行官に認められるようになりました。親権者がその場に立ち会えば、引き渡しが可能です。

子どもにとって最良の方法を取る必要があります。困ったときは弁護士に相談してください。

福岡県弁護士会は13日午前10時から午後5時まで、無料電話相談「女性の権利110番」=093(583)3331=を開設します。気軽にお電話ください。

西日本新聞 11月6日分掲載(仲地彩子)

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