「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2017年12月13日

生活保護、通勤用の車は持てる?

▼Q 失業したので次の勤め先が見つかるまで生活保護を受けたいと思います。ただ不便な場所に住んでいるので車がないと通勤もできません。生活保護を受ける場合、車は手放さなければならないのでしょうか。

▼A 利用し得る資産、能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持に活用することが生活保護の要件です。自動車は売却などの処分をすることが原則とされています。

しかし生活保護の実施要領には、例外的に資産の保有が認められる場合が定められています。現在は使われていないが、近い将来活用されることがほぼ確実で、かつ処分するより保有している方が生活維持に実効が上がると認められるものや、社会通念上処分させることを適当としない場合です。

具体的には、保護開始からおおむね6カ月以内に就労により保護から脱却することが確実に見込まれ、自動車の処分価値が小さいと判断される場合、車の処分指導を行わない、とされています。おおむね6カ月経過した後も、就労を妨げる要因がなく、就労による自立に向けた活動が行われていれば、おおむね1年までは処分を指導しない、とされています。

なので、失業で就労を中断している場合、通勤用の車を必ず処分しなければならないわけではありません。ただし処分指導は保留されているにすぎません。要件を満たさなくなれば指導が行われるので注意してください。

西日本新聞 12月13日分掲載(渡辺圭輔)

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