「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年7月20日

1回だけのはずが定期購入に

▼Q インターネットの通販で「お試し価格」の広告を見て1回だけのつもりで商品を購入したら、定期購入契約を結んだことになっていました。2回目以降の代金も支払わなければなりませんか。

▼A 全国の消費生活センターで定期購入に関する相談が増えています。2016年度は約1万5千件だったのが、19~21年度は3年連続で5万件を超えました。

今年6月、改正特定商取引法が施行され、ネット通販業者は取引の基本的な事項を最終確認画面で明確に表示することが新たに義務付けられました。対象となる項目は(1)商品の数量(2)価格(3)支払い方法(4)商品の引き渡し時期(5)契約申し込みの期限(6)申し込みを撤回できる条件-などです。定期購入の場合は2回目以降の数量、代金、発送時期なども表示しなければなりません。

誤解を招かないような分かりやすい表示をすることも求められます。これらに反する表示によって消費者が誤認して申し込んだ場合は、取り消すことができます。

ご相談の事例では最終確認画面の記載に問題があれば契約を取り消せる可能性があります。証拠を残すため、最終確認画面は必ずスクリーンショットを保存しましょう。今年4月、成人年齢が引下げられ、18~19歳でも保護者の同意なく1人で契約できるようになりました。契約する前に内容を慎重に確認しましょう。

消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すると最寄りの消費生活センターなどが案内されます。福岡県弁護士会の法律相談センターもご利用ください。

西日本新聞 7月20日分掲載(千綿俊一郎)

目次