「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2015年5月20日

賃貸名義貸しは詐欺罪にも

▼Q 知人に暴力団員になった人がいます。その人から久しぶりに連絡があり、「アパートを借りるので名前を貸してほしい」と頼まれました。学生時代は親友だったので断りにくいのですが・・・。

▼A そもそも、相手が暴力団員かどうかに関わりなく、名義貸しでの契約は違法でやめるべきです。トラブルになった場合あなたに責任が生じます。

近年、暴力団排除条例が全国各地で制定されるなど「暴追」の機運が高まり、不動産の賃貸借契約でも「暴力団排除条項」に基づき契約時に貸し主に暴力団員でないことを確約しなければならないことが一般的になってきました。

恐らくこの知人は、自分名義では暴力団排除条項に反してアパートを借りることができないため、名義貸しを頼んでいると推測されます。協力すると大家さんからすれば実際には暴力団員である知人がアパートを使用するのに、それを暴力団員でないあなたが自己使用するとだまされて契約をさせられたということになります。あなたも詐欺罪に問われる恐れがあります。

一度、暴力団との関係ができてしまうとその関係をあなた自身で断ち切ることは難しくなります。暴力団と親密な人物とみられると銀行取引や保険契約ができなくなるなど生活上の支障が生じます。困ったときは、最寄りの弁護士会や警察などに相談ください。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 5月20日分掲載(林 誠)

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