「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2013年7月31日

商品の代金、回収するには

▼Q 手作りの服が好評で、友人が営む雑貨店で販売していたのですが、経営が悪化して代金の支払いが遅れています。友人同士ということもあり担保などとっていなくて・・・。

▼A ダメージを少しでも減らすため、まず契約関係の解除を検討します。服の納入がまだ(債務未履行)であれば履行義務を免れられます。納入済みなら返還を求めましょう。

その際、以下の二つの方法もあります。

(1)友人の同意を得て、その店が持つほかの商品を譲り受けたり、価値のある品物をもらったりする「代物弁済」を受ける。

(2)友人が第三者(顧客など)に売掛金などの債権があれば、その債権を譲り受ける(債権譲渡)。その場合、債権譲渡を第三者にも主張するため、友人から内容証明郵便などによる通知をしてもらうことを忘れずに。

ただ、いずれの方法も、裁判所による破産手続きに入ると、事後的に効力が否定される可能性もあります。

友人に借金をしていたなど逆に債務を持つ場合は、その債務を支払わないことで結果的に代金を回収する「相殺」の方法もあります。あなたの意思表示だけで可能ですが、念のため内容証明郵便を送っておきましょう。

納入した商品を買い上げてもらうなど「売買契約」を結んでいたといえる場合は、その分の代金を優先的に回収できる「先取特権」という方法もあります。

このように、現金での支払い以外にも、多少でも権利を実現する方法はいくつかあります。諦めずに弁護士へご相談ください。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 7月31日分掲載(平井敬三)

目次