「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2014年4月23日

自動車の売買、解約できる

▼Q 中古車を購入する契約書類を作成しました。後日、家族に反対されて解約を申し出ると、販売店から高額なキャンセル料を請求されて・・・。支払わなければなりませんか。

▼A 売買に関する書類を作成している以上、一般的に消費者からの解約はできないと思われがちです。ただし、自動車の販売契約においては、そうでない場合もあります。

販売店の多くが日本自動車販売協会連合会の「自動車注文標準約款」を利用しています。この約款では、契約の成立時期が(1)自動車が登録された日(2)購入者の注文により改造・架装・修理に着手した日(3)納車日-のいずれか早い日をもって契約が成立するものとされています。

このため(1)~(3)のいずれの日も来ていなければ、契約が成立していないことになります。不成立の場合はキャンセル料を支払う必要がなく、キャンセル前にかかった実費を支払えばいいことになります。

また、既に契約が成立してしまっていると解さざるを得ないとしても、あまりに高額なキャンセル料が設定されているような場合、一般的な損害を超える部分は無効になることがあります(消費者契約法9条)。

字が小さい契約書も多いですが、キャンセルに関する定めはとても重要なので、記載内容についてしっかり目を通すことが大切です。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 4月23日分掲載(吉原洋)

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