「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年7月1日

クレームは適切に対応を

▼Q 経営する飲食店の客から「あの従業員の言葉遣いが悪い。店をやめさせろ」と求められました。どうしたらいいのでしょうか。

▼A 飲食店など事業を運営していると、顧客からクレームが寄せられることはあるでしょう。

クレームには(1)従業員が実際に乱暴な口調で接客したなど、正当な理由があるケース(2)事実無根でとても正当な理由がない言い掛かりのようなケース(3)一定の正当な理由はあるが要求が度を超えているケース―などがあります。

(1)は謝罪をするなど適切に対応し、真摯(しんし)に受け止めることが大切です。それがサービスの向上につながり、お店の信用を高めることになります。(2)は不当要求ですから応じる必要はありません。その場を早く収めようと安易に謝罪しないようにしましょう。要求がエスカレートする可能性があります。

(3)も不当要求に当たりますが、言葉遣いが悪かったことなど至らない点は謝罪し、顧客の話を丁寧に聞いた上で、「従業員をやめさせることはできない」などとはっきり断りましょう。もし顧客のクレームに引きずられて従業員をやめさせた場合、その従業員から不当解雇としてあなたが訴えられ、裁判に発展する恐れもあります。

クレームにどのように向き合うかは、法的に根拠のある言い分かどうかの判断が重要になります。日本弁護士連合会と各弁護士会は、中小企業のための「ひまわりほっとダイヤル」=(0570)001240=で面談予約を受け付けています。初回の面談は無料です。ぜひご相談ください。

西日本新聞 7月1日分掲載(徳永慎一)

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