「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年10月12日

亡くなった父の借金、相続は?

▼Q  長距離トラックの運転手です。私は母子家庭でしたが、音信不通だった父がおととし亡くなったことを今になって知りました。借金があるようです。どうしたらいいですか?

弁護士さんに相談したいのですが、ほとんど運転中なので相談予約の申し込みができません。

▼A 相続は亡くなった方の資産を受け継ぐだけではなく、負の財産、債務(借金)も相続します。借金が多い場合は相続放棄を家庭裁判所に申し立てなければなりませんが、申し立ての期限は、民法で「3カ月以内」と決められています。亡くなったのが、おととしということで、手遅れと思いがちですが、実は「3カ月」は、亡くなったことを知った日から数えます。また、死亡の事実を知っていても借金の存在を知らなかったときは、借金を知った日から数えるという例外事例もあります。財産と借金のどちらが多いか判断がつかず、放棄するか迷った場合は、3カ月の期限を一時猶予してもらう申し立てをしましょう。これを熟慮期間の延長といいます。

弁護士は、相続放棄の適用事例や手続きについて助言できます。多忙な方のために、福岡県弁護士会の天神弁護士センター(福岡市中央区)は、インターネットで法律相談の予約を24時間受け付けています。ただし特別な相談分野はネット申し込みができない場合もあります。県弁護士会相談窓口=(0570)783552(なやみここに)=をご利用ください。

西日本新聞 10月12日分掲載(関口信也)

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