「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年11月4日

別居中の夫が生活費を払わない

▼Q 夫と不仲になり、半年前から別居中です。毎月の生活費を支払う約束でしたが、先月から滞っています。新型コロナウイルスによる収入減で、夫からの支払いがないと生活していけません。

▼A まず、家庭裁判所に「婚姻費用」の支払いを求める調停を申し立てることが考えられます。調停が成立すれば、給料の差し押さえなどもできるため、夫が支払いを怠る可能性は減るでしょう。ただ、調停手続きが1回の期日では終わらないことも多く、調停成立まで時間がかかります。

早期の支払いを求める方法として、調停前の仮処分があります。調停を申し立てたうえで、調停委員会から相手方に仮の支払いを命じてもらうものです。正式な調停の成立前でも利用できるのが利点。ですが、差し押さえのような強制力がないため、相手が強硬に支払いを拒んでいる場合、効果がないことが懸念されます。

これとは別に、審判前の保全処分という方法があります。差し押さえのような強制的な処分も可能です。難点はより高度な立証が求められ、裁判所が相手方の意見を聞く必要もあり、一般的に調停前の仮処分より時間がかかります。

手続きの内容に不明な点などがあれば、各地の弁護士会にご相談ください。福岡県弁護士会北九州部会は北九州市立男女共同参画センター・ムーブと共催で、18日午前10時~午後5時、弁護士などによる無料電話相談「女性の権利110番(ホットライン)」を実施します。電話番号は093(583)3331、093(583)3663です。

西日本新聞 11月4日分掲載(牧山愛美)

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