「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2022年1月26日

就職時の身元保証って何?

▼Q 息子が4月に大学を卒業し、就職します。就職先から、親が身元保証人になるよう求められています。身元保証とはどういうものですか。

▼A 「身元保証」というと、その人の素性や人格を保証するようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、法律上の意味は、従業員が勤務先に与えた損害の賠償責任を負う契約となります。保証契約の一種で、身元保証法という特別な法律があります。

就職の段階では、就職先は従業員のことがよく分かりません。もしかしたら悪いことをする人かもしれません。このため、身元保証人を求める必要性は一応あります。一方、身元保証人は、厚意でなる人が大半なのに、先々まで保証の責任を負うことになります。民法や身元保証法はこれらのバランスをとっています。

まず、書面での契約が必要で、契約の時に保証の限度額を決めておかなくてはなりません。保証期間は5年間までです。引き続き保証をするには、5年ごとに保証契約を更新する必要があります。

従業員が問題を起こしたり、業務や勤務地が変わったりした場合、勤務先は身元保証人に通知しなくてはなりません。通知を受けた場合、その後の身元保証をやめることができます。

問題が起きた場合は、勤務先の監督責任などを考慮して賠償額を減額できることになっています。身元保証人も、従業員をどのように指導していたかを問われます。具体的に何割の減額かは決まっていないので、話し合いで決まらなければ、裁判で決めることになります。

西日本新聞 1月26日分掲載(角倉潔)

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