「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年6月9日

宝くじの当選金は財産分与の対象?

▼Q 妻と離婚協議中です。私は昨年、小遣いで買った宝くじが当たり、当選金100万円を預金しています。妻からこの預金も財産分与するよう言われていますが、その必要はあるのでしょうか。

▼A 結婚中に作った財産は、基本的に財産分与の対象となります。分与割合は5割ずつになることが多いです。夫婦どちらの名義かはあまり関係ありません。互いの協力で得た財産と考えられるからで、あなたの給料をあなた名義で預金していたとしても、分与の対象となります。

では、小遣いで買った宝くじの当選金はどうなるのでしょうか。これに関しては、財産分与の対象になるとした東京高裁の決定(2017年)があります。この決定は、小遣いも夫婦共同の収入の一部であり、当選金も共同の財産になると考えているようです。ただし分与割合は、当たった方が資産形成への貢献が大きいので6割、相手方が4割と判断されました。

この決定は、あくまでこの事例に対する判断で、全てがそうなるわけではありません。とはいえ、ご相談の件は「小遣いで買ったのだから財産分与とは関係ない」では済まないでしょう。ご紹介した決定を参考に、あなたの割合を大きくすることも含め、話し合いをされてはいかがでしょうか。

財産分与については、親の遺産が含まれていたり、一方が高額所得者であったりと、原則通りに処理できないケースがたくさんあります。弁護士にご相談いただければ、実際の事例や裁判実務を踏まえてアドバイスします。

西日本新聞 6月9日分掲載(鍋島典子)

目次