「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2016年8月3日

借金苦での自殺を防ぐ

▼Q 先日、息子が自殺を図りました。うつ病にかかっており、借金問題でも悩んでいました。一命は取り留めたものの、詳しいことを話してくれず、また自殺を図るのではないかと心配です。

▼A うつ病患者は自殺のハイリスク群といわれます。そこに経済的な問題が重なると、一層深刻です。うつ病は医療に委ねるしかありませんが、経済的な問題は弁護士が介入すれば解決できる場合があります。

借金問題の解決には、まず借金の内容を知る必要がありますが、親には話したくないという人が大勢います。また、精神保健福祉士や自治体のケースワーカーなどの専門職にも借金を打ち明けられない人がいます。

それでも、弁護士が面談すると、誰にいくら借金がある、貸したお金が返ってこないなどと、詳しく話してくれる人は少なくありません。事情を聞ければ、弁護士が債務整理を受任したり、貸金を回収したりという解決への道筋が見えてきます。

福岡県弁護士会には「自死問題支援者法律相談制度」があります。自殺の危険が高い人の世話や支援をしている親族、専門職(精神保健福祉士など)から弁護士会へ申し込んでいただくと、担当弁護士が48時間以内に電話をかけます。場合によっては専門職立ち会いの下、無料で法律相談に応じています。

このような取り組みは、他県の弁護士会にも広がりつつあります。詳細は最寄りの弁護士会に問い合わせてみてください。

西日本新聞 8月3日分掲載(馬場幸太)

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