「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2014年7月9日

被害弁償金が処分に影響も

▼Q けがをさせられ、加害者は逮捕されました。その弁護人から「被害弁償金を支払いたい」と連絡がありました。被害のせいで仕事を休み、経済的に苦しいので受け取りたいと思う半面、それで刑事処分が軽くなるなら納得いきません。

▼A 弁償を受けると処分が軽くなるケースがあるのは確かです。逮捕後すぐに受け取ると、起訴されない(刑事裁判にならない)こともあります。起訴後、被害弁償なしだと実刑になると思われる事件が、執行猶予になる場合もあります。

それに受け取る時期の問題だけでなく、被害の大きさ(重傷か軽傷か)や弁償金額(全額か一部か)も処分に影響します。賠償金を受け取った場合の処分の見通しについては、知人の体験やインターネット情報に頼らず、担当検察官に必ず直接、確認してください。

また、加害者の申し出を断ると、後から請求しても支払いを受けるのが困難な場合もあり得ます。検察官は、見通しは教えても、事情を踏まえた上で今すぐ受け取るべきかのアドバイスはしません。加害者から判断をせかされる場合もあります。

自分で判断がつかない場合は弁護士への早めの相談をお勧めします。自己負担なしで弁護士に相談・依頼できる制度もあります(収入などの要件あり)。

福岡県弁護士会の犯罪被害者支援センターでは、火曜と金曜の午後4時~7時に、電話相談=092(738)8363=に無料で応じています。ご利用ください。

西日本新聞 7月9日分掲載(崎山有紀子)

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