「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年11月7日

弁護士による着手金詐欺

▼Q 投資詐欺で1千万円を失いました。インターネット上で「全額回収できます」と広告する弁護士を見つけました。本当に可能でしょうか。

▼A そのような弁護士への依頼は慎重になった方が良いです。法的な対応を速やかに行えば、被害回復できる可能性がないとは言えません。弁護士は投資詐欺の手口や実効的な回収方法を日々研究しています。それでも、一般的に被害金の全額回収は極めて困難です。「全額回収」をアピールする弁護士には警戒した方が良いでしょう。

残念なことに、被害回復の可能性がほとんどないのに依頼を受け、着手金を受領して何もしない弁護士もいます。被害感情を利用し、着手金をだまし取る二次被害を与えるもので、着手金詐欺と呼ばれます。逮捕されたり、弁護士会から処分されたりする事例が続いています。依頼する前に、しっかりと弁護士から説明を聞いてください。誠実な弁護士であれば、被害金の回収の可能性と、かかるお金と時間を、費用対効果も含めてきちんと説明するでしょう。

これまで問題となった弁護士は「全額回収した事案がある」「24時間対応」「LINEで相談」などとアピールしていました。実態は、詐欺被害の回復方法に精通しているわけでもなく、対応を弁護士が行わず、スタッフ任せにしていました。

被害回復については、別の弁護士の見解を聞いてみるのも有効です。法律相談センターは、福岡県弁護士会が運営する相談窓口です。ナビダイヤル=(0570)783552(なやみここに)=で予約してください。

西日本新聞 11月7日分掲載(尾形達彦)

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