「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2023年8月16日

保育施設での事故 どう対応?

▼Q 保育園の園長です。職員による虐待や送迎時の事故の報道を目にすることが増え、人ごとではないと感じています。どんな点に気を付けておけばよいですか。

▼A 保育施設で重大事故が起きた場合、一番大事なのは初動対応です。救護措置以外に、事実関係の確認、資料の確保、保護者や職員への説明などがあります。行政機関への報告も必要となります。この初動対応を間違えると、保護者や職員からの不信を招き、今後の園運営に大きな支障が生じかねません。

救護措置や再発防止などは当然大事ですが、それを関係者にタイムリーに説明することも同じように大事なことだと考えてください。園に非がある部分は、率直に謝罪しましょう。謝罪したら全責任を認めたことになるという心配はいりません。法的責任と道義的責任は別問題ですので、道義的に謝罪すべきと考えるならば、きちんと謝罪しましょう。

実際の裁判でも、介護施設の管理者による謝罪の言葉について、「結果として期待された役割を果たせず不幸な事態を招いたことに対する職業上の自責の念から出た言葉」と捉えて、謝罪による法的責任を否定したものがあります。

もし保護者説明会を開催する場合は、保護者は何も分からなくて不安だということを前提に対応しましょう。事実を誠実に説明することが保護者の安心感につながります。説明会の進行次第、想定問答、受付の段取りなど徹底した準備が必要です。

事故はいつ起きるか分かりません。起きてから考えても間に合いません。自然災害と同様にマニュアル作成や事故を想定した訓練など日頃からの備えが重要です。

西日本新聞 8月16日分掲載(南川克博)

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