「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年10月4日

動物虐待を目撃したら

▼Q 近所の家に痩せこけた犬がいます。散歩に行っている様子は全くなくてふんも掃除されておらず、臭いがひどいです。餌や水も十分に与えられていないようです。とても可哀そうなのですが、何かできることはないのでしょうか。

▼A 動物愛護管理法は、動物をみだりに殺傷しないように求め、適正に飼養することを定めています。動物虐待に対しては罰則があり、殺傷は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、ネグレクトには1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。

ネグレクトの定義については、環境省が2010年2月に出した通知に具体例が挙げられています。餌が十分でなく栄養不良で骨が浮き上がって見えるほど痩せている▽器が汚く水入れに藻がついている▽リードが短すぎて身体を横たえることができない-といったものです。

この通知に従えば、ご相談のケースはネグレクトに該当する可能性がありますので、警察に通報したり自治体に相談したりすれば、指導や勧告などが行われ、状況の改善につながることが期待できます。もっとも、証拠がなければ警察なども動きにくいのが実情ですので、飼養の様子をスマホで撮影するなどしておくことをお勧めします(ただし、プライバシー侵害や不法侵入にならないように、公道から普通に見える範囲の撮影にした方がよいでしょう)。

動物虐待の背景には、高齢や経済的困窮などの飼い主側の問題が隠れていることもあります。動物愛護の問題は、一方で人や社会の問題でもありますので、動物虐待を目撃した場合には弁護士も含めた関係機関にご相談ください。

西日本新聞 10月4日分掲載(稲村蓉子)

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