「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年9月26日

容疑者の不起訴に納得できない

▼Q 刑事事件の被害者です。容疑者が不起訴処分になったと聞き、納得できません。

▼A 担当の検察官に照会すると、不起訴とした理由を教えてもらえる場合があります。納得できなければ、検察審査会に審査の申し立てをすることができます。

そのためには不起訴処分に納得できない理由などを記載した申立書を提出する必要があります。費用はかかりません。申立人はその際、意見書や資料を併せて提出することもできます。ただし検察審査会の会議は非公開。詳しいやりとりなど、議決に至った経緯について知ることはできません。

検察審査会の議決には、(1)起訴相当(2)不起訴不当(3)不起訴相当-があり、申立人には書面で議決の要旨が届きます。このうち(1)や(2)は、検察官が再度、起訴すべきか否かを検討し、判断を改めて起訴する場合もあります。

一方、(1)にもかかわらず、検察官がまた不起訴処分にした場合は、再び検察審査会が開かれます。そこでまた起訴相当と判断されれば、検察官に代わって、裁判所から指定された弁護士が起訴します。いわゆる強制起訴です。

このように不起訴処分に納得できないときは、検察審査会に審査を申し立てることで、検察官に再考を促し、起訴してもらえることがあります。検察官が起訴しなくても、検察審査会で2度にわたり起訴相当と判断された場合は、起訴となるのです。

諦めることなく、検察審査会への申し立てを検討されてはいかがでしょうか。

西日本新聞 9月26日分掲載(渋谷和利)

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