「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年12月16日

情報商材トラブル、どうすればいい?

▼Q 21歳の学生です。大学のOBに誘われ就活セミナーに行きました。貸会議室が会場で「内定を得るための秘密のノウハウが載っている」と強く勧められ、断り切れずに30万円の教材を買いました。ところが、内容は一般的なエントリーシートの書き方だけ。お金は返してもらえないのでしょうか。

▼A 大学生になると、それまでよりも自由に生活できるようになります。反面、社会経験の少なさにつけ込まれ、標的になりやすくなります。あなたと同じように無意味な「情報商材」を売りつけられる被害は多発しています。

情報商材に限らず、契約の際は落ち着いて考えてください。契約は自由です。
今すぐ決めなければならない契約などなく、かえって怪しいと思いましょう。犯罪に手を貸す契約もあります。不安に思ったら契約前に親などに相談してください。弁護士会や各地の消費生活センターでも相談を受けています。

あなたの場合、既に契約したようですが、お金が返ってくるかもしれません。
例えば、営業所などとは違う場所で契約していることから、訪問販売のクーリングオフが利用できるかもしれません。また、秘密でもないものを、さも秘密であるように言われた場合は「不実の告知」、過度に不安をあおられ契約をしてしまった時は「困惑させた」として、消費者契約法で契約を取り消せるかもしれません。

消費者被害には多数の事例の集積がありますが、取り消し期間などが限られている場合もあります。なるべく早く相談してください。

西日本新聞 12月16日分掲載(杉垣朋子)

目次