「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年11月18日

テレワークを「監視」できるの?

▼Q 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークをしています。パソコンは会社から貸与され、ウェブサイトへのアクセス履歴は会社に自動送信されるそうです。また、業務中はウェブカメラで様子が見えるようにするよう指示されています。このような監視が許されるのでしょうか。

▼A 仕事である以上、一定の業務管理は必要でしょう。ただ、それが自宅という個人の領域に及ぶ時には、プライバシーとの調整が必要になります。まず、アクセス履歴の記録は多くのオフィスで行われています。あなたの場合、パソコンは業務のために会社から貸与されたものであり、履歴を送信したからといって自宅内の様子が分かるわけではないので、オフィスでの記録と同様に、適法とされる可能性が高いと考えられます。

一方、ウェブカメラはどうでしょうか。そもそも、オフィスであっても、常時撮影が無制限に許されるわけではありません。さらに、自宅の場合、内部の様子が写り込んでしまうこともあります。したがって、ウェブカメラによる常時撮影は、きちんとした規定が定められ、それが周知されていることが必要と思われます。この規定には、撮影される人の範囲、映像を見てよい人の範囲、興味本位で映像を見ることの禁止などが定められているべきでしょう。そして、これらを守らない場合、違法となることもあるでしょう。

働き方が変わると、新しい問題が起きます。福岡県弁護士会は、労働問題の相談を無料で受けていますので利用してください。予約電話=(0570)783552。

西日本新聞 11月18日分掲載(澤戸博樹)

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