「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年11月15日

「年金分割」とは?

▼Q 11年前に結婚し、専業主婦として暮らしてきましたが、今は離婚を考えています。
将来の生活が不安になり調べてみると「年金分割」という制度があるのを知りました。私も利用できるのでしょうか。

▼A 年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、離婚時に分割するものです。会社員の夫と専業主婦の場合、厚生年金の保険料を納めた記録は夫だけに残るので、離婚すると妻がもらえる年金は夫と比べ低額になります。この格差を解消するための制度が年金分割です。

誤解されている方も多いのですが、分割されるのはあくまで婚姻期間に限った保険料納付記録で、しかも収入に応じて保険料を納める「報酬比例部分」だけであり、夫が受け取る年金全体を○割対○割に分けるということではありません。

具体的な方法は分割の対象期間などによって異なりますが、2006年に結婚された場合、夫婦で分割の割合を話し合い、合意した上で、年金事務所に分割を請求する必要があります。割合は多くが2分の1とされています。合意が難しければ裁判所を利用することもできます。

分割請求ができるのは離婚から原則2年以内。不明な点は年金事務所や弁護士などにご相談ください。

福岡県弁護士会北九州部会では21日午前10時~午後5時、こうした問題などに無料で電話相談に応じる「女性の権利110番」を実施します。電話は093(583)3331、3663です。

西日本新聞 11月15日分掲載(牧山愛美)

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