「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2010年7月2日

「下請けいじめ」違反行為も

その電話は、ある小さな会社の経営者の奥さんからでした。「主人が自殺を・・・」。資金繰りに行き詰まっての悲劇でした。

まじめな経営者ほど、家族や従業員、顧客、取引先のことで頭がいっぱいになり、立ち止まる機会を失いがち。特に日本の会社の9割を占める中小企業の経営者は、顧問弁護士と契約するような余裕もなく、孤独感を味わうことが多いようです。

資金繰りだけでなく、売掛金回収やクレーム対応、事業承継をめぐる法律トラブルなど悩みは尽きません。この不況下では「下請けいじめ」も深刻です。

取引先が約束通り請負代金を払ってくれない、一方的に単価を引き下げられた、状況が変わったという理由で納品の受け取りを断られた…。いずれも「下請代金法」や「下請ガイドライン」で禁止されている行為なのですが、法律に詳しくないばかりに、苦しんでいる経営者も少なくありません。

一方で、スピード勝負のビジネス界に合わせ、法律もめまぐるしく変わっています。死を選ぶような悲劇を見聞きするたびに、国や役所、そして私たち法律に携わる者が、そういう情報を経営者に届ける努力の必要性を痛感します。

日本弁護士連合会は、ひまわり中小企業センター(0570(001)240)を開設しています。

一両日中に地元の弁護士が折り返し連絡し、後日面談で相談に応じます。9月末まで初回無料。みなさんは孤独ではありません。

西日本新聞 7月2日分掲載(池田耕一郎)

※このイベントは終了しました

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